橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

ザルツブルク音楽祭 マウリツィオ・ポリーニ ソロ・コンサート

classingkenji+books2010-09-10

次に聴いたのは、同じ日の夜のソロ・コンサート。ポリーニの実演を聴くのは、数年前の東京に続いて2回目である。事前の発表では前奏曲全曲と練習曲作品25全曲となっていたが、練習曲は抜粋となり、夜想曲2曲とスケルツォが加わった。こういう変更は、大歓迎である。
ショパン前奏曲というと、若きアルゲリッチの衝撃的な演奏のイメージが強く、これを上回るものにお目にかかったことがない。今日のポリーニの演奏は、CDで聞くのとほぼ同じで、見事な演奏ではあるけれど、驚くほどのものではなかった。
後半の夜想曲は、作品27の2曲。ポリーニがしばしば取り上げるお気に入りの曲で、さすがの名演。練習曲も、技巧性と音楽性を兼ね備えたいい曲ばかり取り上げてくれて、実に見事な演奏だった。しかも、アンコールは革命エチュードとバラード1番という豪華な選曲。バラードのフィナーレで聴衆の心を見事にとらえ、終わった直後からほぼ満場のスタンディング・オベイション。ザルツブルクの聴衆の敬愛を一身に集めている様子がうかがえる。予想の範囲とはいえ、めったにお目にかかれない名演だったといっていい。