橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

ザルツブルク音楽祭 コンセルトヘボウ管弦楽団コンサート

classingkenji+books2010-09-19

27日の夜は、客演オーケストラの目玉、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のコンサートへ。指揮は、マリス・ヤンソンスで、バルトークムソルグスキーストラヴィンスキーのプログラムである。
バルトークの「弦・打楽器とチェレスタのための音楽」は繊細かつ柔軟な演奏。名演との評価の高いライナー/シカゴの演奏とは対極に位置する、近代西欧的でロマンティックな演奏だった。弦楽器の繊細な動きも、素晴らしかった。ムソルグスキーの「死の歌と踊り」は、バスのフルラネットが圧倒的な声を聞かせたが、ロシア語がわからないので、その真価を理解できたかどうか。せめて歌詞の意味を頭に入れてくるべきだった。
ストラヴィンスキーは「火の鳥」全曲。やはり西欧的でモダンな演奏。ストラヴィンスキーのフランス音楽的な性格を強く出し、この曲をリリカルで美しい曲として演奏していた。弦楽器の細やかな動きは絶品で、このオーケストラの印象が大きく変わった。この弦楽器の美質は、CDではわからりにくい。私は来日公演を聞いたことがあるが、サントリーホールの一階のいちばん後ろの席だったから、この弦楽器の音は十分聞き取れなかった。管楽器も美しく、特に「火の鳥」終曲の冒頭でのホルンの弱音にはびっくり。そして最後の強奏でも、音が濁らず繊細さが失われない。素晴らしいコンサートだった。