ザルツブルク音楽祭2012 モーツァルト・マチネー7
音楽祭の最後は、モーツァルテウムでのモーツァルト・マチネーの最後のプログラム。指揮はマルク・ミンコフスキーで、曲はリンツ交響曲とムソルグスキーの「モーツァルトとサリエリ」。
まず「リンツ」の演奏が素晴らしかった。生気溢れる演奏で、オーケストラの技術も指揮に十分応えている。最終楽章で、バイオリンの細かいパッセージが一糸乱れずに繰り返されるところなど、目を見張る見事さだった。CDでも聴いたことがなかったが、こんな素晴らしいモーツァルト指揮者がいたのかと驚かされた。
「モーツァルトとサリエリ」は、サリエリによる毒殺を中心に置いたプーシキンの原作により、ムソルグスキーがモーツァルトをまねたスタイルで書いた曲。途中にはモーツァルトのピアノ協奏曲風のような部分や、レクイエムからの引用もある。ドラマティックに変化をつけながら、モーツァルトのオペラ風に見事に演奏していた。二人の歌手は声量も豊かで、オペラらしく表情も豊かに歌い上げた。こちらも名演。最後のマチネーも、素晴らしいコンサートだった。(2012.9.1)