橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

ザルツブルク音楽祭2016 Jedermann

classingkenji+books2016-09-17

今回のザルツブルク音楽祭、最初はコンサートではなく、演劇。この音楽祭が今日の形を整えたのは1920年だとされているが、この年に行われた唯一の出し物が、この劇だった。Jedermannというのは英語だとeverymanのことで、タイトルであるとともに主人公の名前でもある。副題は、「金持ち男の死の物語」。強欲な金貸しであるイェーダーマンは、母親の忠告も聞かずに金もうけに奔走し、知人や愛人を集めて大宴会を催していたところ、死神が現われて、彼を連れて行くという。みんなに助けを求めるのだが、誰も相手にしてくれない。「善行」や「信仰」が現われては彼を諭し、最後には覚悟を決めて墓に入っていく、というお話し。ドイツ語なので一割ほどしか分からなかったが、話の流れは見ていれば分かる。
音楽の役割が大きく、音楽劇といえないこともない。最初はデキシーランド風の音楽に合わせて登場人物が一斉に現われ、顔見せをしてから劇が始まり、要所要所で音楽が大きな役割を果たす。会場は大聖堂のそばで、ときおり伽藍の鐘が高らかに響き渡り、感動を呼ぶ。そして最後は、最初と同じように音楽とともにみんな去って行く。
この劇を見るのは、以前からの懸案だった。一度見たから、当分はもう良いだろう。(2016.8.16)