橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

水木しげる(原作・柳田國男)『水木しげるの遠野物語』

遠野物語』は、民俗学の確立者としての柳田國男の名声、そして『共同幻想論』における吉本隆明の晦渋な読解の影響で、気軽に読むことが許されないようなイメージがないではない。ところが水木しげるは、これを完全に消化して、独自の世界にまとめ上げた。原作のおよそ7割から8割くらいの内容が、見事に漫画化されている。素朴で土臭い香りが全体を覆い、恐怖はユーモアの中に溶かし込まれている。それは水木の妖怪漫画の、ごく自然な延長線にある。今度は原作を読み返してみよう。

水木しげるの遠野物語 (ビッグコミックススペシャル)

水木しげるの遠野物語 (ビッグコミックススペシャル)