橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

斎藤美奈子『文学的商品学』

何度も書くが、私が逆立ちしてもかなわないと思っている書き手の一人が、斎藤美奈子。博識で毒舌。才気走った文体。毒舌以外、とても太刀打ちできない。本書は、この著者としては久しぶりという文芸評論だが、タイトルにある通り、「商品」に着目している。…

高見順『敗戦日記』

高見順は膨大な量の日記を残したが、このうち1941年1月から51年5月までの日記が『高見順日記』全8巻9冊として刊行されている。さらにこのうち、1945年の分を編集したのが、本書。元の日記が、この版では大幅に省略されている。途中に挟み込まれた新聞・雑誌…

松田奈緒子『スラム団地』

団地つながりで、マンガを一冊。福岡の団地で子ども時代を過ごした著者が、当時の思い出を綴ったコミックエッセイである。時代は一九七〇年代としか書かれておらず、著者の年齢も定かでないため、いつの出来事か正確にはわからない。しかし、小学校六年のク…