橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

幸徳秋水『社会主義神髄』

何をいまどき、という感もあるが、はじめて読了。 初版刊行が1903年ということもあり、理論的な水準からいえば、きわめて初歩的で、また天皇制と社会主義の両立を力説するなど、時代を感じさせる部分も多い。しかし、たいへん面白かった。個人の持つ技能につ…

十川信介『近代日本文学案内』

岩波文庫の別冊として刊行された、近代日本文学の解説書。時系列通史のような無味乾燥な構成ではなく、立身出世の欲望、異界と別世界への願望、交通機関と通信手段という、三つの柱を立ててテーマ別に近代文学の数々の作品を論じていくという構成がユニーク…

永井荷風を読む3

これは、野口冨士男の編んだアンソロジーの下巻。テーマは東京論以外ということで、自分の生い立ちや身辺、文学者としての経歴について語ったもの、芸術論・文学論、性にかんする小論などを収めている。 とくに印象深いのは、2番目の妻で新橋の芸妓・八重次…