橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

ザルツブルク音楽祭2018 グスタフ・マーラー・ユーゲントオーケストラ・コンサート

ザルツブルク音楽祭も終盤だが、私が最後に行ったのは、ヨーロッパの若手音楽家によって編成されているオーケストラ、グスタフ・マーラー・ユーゲントオーケストラのコンサートである。指揮は、まだ20代後半の新鋭、ロレンツォ・ヴィオッティ。会場のフェルゼ…

ザルツブルク音楽祭2018 歌劇「サロメ」

この日は、ハンス・ウェルザー・メスト指揮のウィーン・フィル、ロメオ・カステルッチの演出で、オスカー・ワイルド原作、リヒャルト・シュトラウス作曲の歌劇「サロメ」。会場はフェルゼンライトシューレで、私の席は前から4列目のいちばん左。 演奏が始まる前か…

ザルツブルク音楽祭2018 ロンドン交響楽団コンサート

音楽祭4日目は、サイモン・ラトルの指揮するロンドン交響楽団のコンサートへ。曲目は、バーンスタインの交響曲第2番「不安の時代」を前半におき、後半はドヴォルザークのスラブ舞曲作品72と、ヤナーチェクのシンフォニエッタ。 バーンスタインのソリストは、…

ザルツブルク音楽祭2018 マウリツィオ・ポリーニ ピアノ・リサイタル

音楽祭の3日目は、もう1つ、ピアノのリサイタル。ポリーニの実演をザルツブルクで聴くのは、これが3回目。これまではたしか、オール・ショパンのプログラムだったのだが、今回は前半に、ブラームスの3つの間奏曲作品117と、シューマンの「オーケストラのない…

ザルツブルク音楽祭2018 ウィーン・フィル・コンサート

音楽祭の3日目は、ウィーン・フィルのコンサート。指揮は、ヘルベルト・ブロムシュテット。演目は、シベリウスとブルックナーの、いずれも第4番の交響曲である。私の席は、前から3列目の右から7番目で、第2バイオリンの直下という位置。 ブロムシュテットは191…

ザルツブルク音楽祭2018 歌劇「スペードの女王」

音楽祭の2日目は、マリス・ヤンソンスの指揮、ハンス・ノイエンフェルスの演出、ウィーン・フィルの管弦楽で、チャイコフスキー作曲、プーシキン原作の歌劇「スペードの女王」。 ノイエンフェルスの演出は、冒頭から驚きの連続。少年合唱団は檻に入れられたまま…

ザルツブルク音楽祭2018 ウエスト・イースタン・ディヴァン・オーケストラ

2016年に続いて、音楽祭にやってきた。最初の夜は、ダニエル・バレンボイム指揮のウエスト・イースタン・ディヴァン・オーケストラ。イスラエルとパレスチナ、アラブ諸国の若者たちからなるこのオーケストラは、1999年にエドワード・サイードとバレンボイムによ…

ザルツブルク音楽祭2016 マリス・ヤンソンス/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

8月20日は、今回の眼目のひとつ、マリス・ヤンソンスの指揮でウィーン・フィルのコンサート。始まる直前に、とんでもないアクシデントがあった。なんと、ホールの照明が突然全部消えてしまったのだ。予備の明かりがついたうえに、昼間のコンサートだったので…

ザルツブルク音楽祭2016 ウェルザー=メスト/クリーブランド管弦楽団

8月19日は、ウェルザー=メストの指揮で、クリーブランド管弦楽団のコンサート。場所は、祝祭劇場の大ホール。曲目は、まずバルトークの「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」。そして休憩のあと、R.シュトラウスの「死と浄化」と「4つの最後の歌」。 …

モーツァルトが生まれた部屋

久しぶりに、モーツァルトの生家へ行ってみた。2008年、初めてザルツブルクへ来たときには訪れたのだが、それ以来。5階建ての建物で、1階はスーパーになっている。モーツァルトの生家は4階で、入口からまずここへ直行し、生家を見たあとで3-2階の展示も見る…

ザルツブルク音楽祭2016 ノリントン/カメラータ・ザルツブルク

8月17日は、モーツァルテウムの大ホールで、カメラータ・ザルツブルクのコンサートを聴く。指揮は、名誉指揮者のロジャー・ノリントンで、曲目はオール・ベートーベンで、「プロメテウスの創造物」と「エロイカ」。 古楽指揮者第1世代というものがあったとす…

ザルツブルク音楽祭2016 Jedermann

今回のザルツブルク音楽祭、最初はコンサートではなく、演劇。この音楽祭が今日の形を整えたのは1920年だとされているが、この年に行われた唯一の出し物が、この劇だった。Jedermannというのは英語だとeverymanのことで、タイトルであるとともに主人公の名前…

ザルツブルク音楽祭2016

2014年に続いて、2年ぶりにザルツブルク音楽祭へ行ってきた。 ザルツブルクは天気が変わりやすく雨の多い地域で、天気予報はたいがい「曇り時々晴れ一時雨」といった具合。だから実際の天気は、その時になってみないとわからない。しかし今回は、比較的天気…

ホームページのリニューアル

メインのホームページをリニューアルしました。こちらのブログも、そろそろ更新を再開します。橋本健二のホームページ リニューアル版

ザルツブルク音楽祭2012 モーツァルト・マチネー7

音楽祭の最後は、モーツァルテウムでのモーツァルト・マチネーの最後のプログラム。指揮はマルク・ミンコフスキーで、曲はリンツ交響曲とムソルグスキーの「モーツァルトとサリエリ」。 まず「リンツ」の演奏が素晴らしかった。生気溢れる演奏で、オーケスト…

ザルツブルク音楽祭2012 コンセルトヘボウ管弦楽団

八月三一日は、コンセルトヘボウ管弦楽団。今回の音楽祭では、もっとも期待していたコンサートである。いちばん値段の高いカテゴリーの席にしたところ、前から四列目のほぼ中央というポジションだった。指揮はもちろん、マリス・ヤンソンス。 一曲目は、バル…

ザルツブルク音楽祭2012 ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

八月三〇日は、ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサート。指揮はリッカルド・シャイー。実物は初めて見たが、いかにも陽気なイタリア男といった雰囲気である。曲は、マーラーの交響曲第六番。 一楽章は冒頭の弦楽合奏からして、大音量で緊張感があ…

ザルツブルク音楽祭2012 クリーブランド管弦楽団2

八月二九日は、クリーブランド管弦楽団のコンサート二日目。最初は「わが祖国」の終わりの二曲。昨晩は聴衆を落胆させたメストだが、今日の演奏ではテンポ設定も妥当で、音楽の流れにも問題はなく、金管も適度に鳴っていて、まずまずの演奏だった。 二曲目は…

ザルツブルク音楽祭2012 クリーブランド管弦楽団1

今回の音楽祭では、クリーブランド管弦楽団が二回のコンサートを行った。プログラムは連続していて、スメタナの「わが祖国」を二夜に分けて演奏し、その前後にルトスワフスキの曲を配置、最後はショスタコーヴィチの交響曲第六番という、変則的な編成。観客…

ザルツブルク音楽祭2012 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

今回の音楽祭では、ウイーン・フィルは五つのプログラムを演奏したが、残念ながら音楽祭の前半に集中していたため、聞くことができたのは八月二七日、第五プログラムのこの演奏会のみだった。指揮はベルナルド・ハイティンクで、曲はマレイ・ペライアをソリ…

ザルツブルク音楽祭2012 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

いつも音楽祭の最後の方に一回だけあるベルリン・フィルのコンサートである。指揮は、もちろんサイモン・ラトル。曲は、前半がヤヒム・ブロンフマンをソリストに迎えてブラームスピアノ協奏曲第二番。後半はルトスワフスキの交響曲第三番。 まずブラームス。…

ザルツブルク音楽祭2012 モーツァルト・マチネー6

モーツァルテウムでのモーツァルト・マチネーは七つのプログラムが用意されていたが、私が聞いたのは最後の二つ。この日は、ミヒャエル・ギーレンの指揮で、モーツァルトの交響曲K.543とK.550を中心としたプログラムである。 現代音楽のエキスパートで、自ら…

ザルツブルク音楽祭2012 ラトル/コリンズの「カルメン」

今年のザルツブルク音楽祭、「魔笛」に引き続いて八月二五日に聞いた二つ目のオペラは「カルメン」。演奏は、サイモン・ラトル指揮のウィーフィルとウィーン国立歌劇場、演出は英国人のアレッタ・コリンズ。人気の公演だったらしく、終了後にたまたまビアレ…

ザルツブルク音楽祭2012 グスタフ・マーラー・ユーゲントオーケストラ

ザルツブルク音楽祭の二つ目のコンサートは、八月二一日、グスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラで、指揮はダニエレ・ガッティ。 このオーケストラは、二六歳までのヨーロッパ市民をメンバーとするユース・オーケストラで、一九八六年にクラウディオ…

ザルツブルク音楽祭2012 アーノンクール/ヘルツォークの「魔笛」

ザルツブルク音楽祭、最初に聴いたのは八月一九日の「魔笛」。演出はヤンス・ダニエル・ヘルツォーク。演奏はニコラス・アーノンクール指揮のウィーン・コンツェルトゥス・ムジクス他である。年齢からいって、アーノンクールの「魔笛」は、これが最後ではな…

ザルツブルク音楽祭2012

八月後半から九月初めにかけて、ザルツブルク音楽祭に行ってきた。聴いたコンサートは、オペラが「魔笛」「カルメン」、モーツァルテウムで開かれたモーツァルト・マチネーが二回、そしてOrchesterfinaleと題された一連のコンサートから、プラハに行っていて…

堀川弘通『評伝 黒澤明』

先日紹介した、小林信彦の『黒澤明という時代』が、もっとも優れた黒澤明の評伝として紹介していたのが本書。実際のところ小林信彦は、事実関係については大部分を本書に負っていて、これに自分の経験と黒澤の作品評を付け加えたといった方がいいくらいであ…

『東京人』2012年8月号 特集「東京地形散歩」

NHKの人気番組「ブラタモリ」は、古地図とともに高低差に注目した街歩きが新鮮で、人気を集めたようだが、実は地形と坂道に注目するのは正統派街歩きの手法であり、特に新しいわけではない。そこで、まえまえから地形に注目した東京歩きを実践してきた人…

小林信彦『黒澤明という時代』

今年の三月に文春文庫から出たが、原著は二〇〇九年。黒澤明の全作品を同時代に観た著者が、自分史と戦後史を重ね合わせながら、これら全作品を論じていく。ちなみに最初の作品である「姿三四郎」を観たのは、一〇歳の時だという。著者は笠原和夫を引きなが…

『銀座と戦争』

平和博物館を創る会という団体が編集した写真集。一九三七年から一九四九年に撮影された銀座および周辺の写真が、三六四枚収録されている。冒頭に出てくるのは、南京制圧の戦勝記念パレード。市民は、屈託のない喜びようである。戦時色が強まり、服部時計店…