橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

2008-12-01から1ヶ月間の記事一覧

森下賢一『居酒屋礼讃』

かつて毎日新聞社から出版された単行本に、大幅加筆して文庫化された。原著は、今日では花盛りの各種居酒屋本の元祖とでもいうべきもので、私も大いに参考にさせていただいたもの。とくに、客の社会的構成を服装から読み解くという手法は、ここから着想を得…

西健一郎『日本のおかず』

東京の日本料理では最高峰ともいわれる、新橋・京味のご主人が、家庭で作ることのできるお総菜を中心に解説した本で、かなり評判になっている。 レシピはシンプルで、理にかなっている。さっそく2種類ほど作ってみたが、レシピどおりにすると、意外に味が濃…

坂崎重盛『東京煮込み横丁評判記』

著者は墨田区に生まれ、大学で造園学を専攻し、長年にわたって自治体で都市計画に携わった人物。退職後はエッセイストとなり、『TOKYO 老舗・古町・お忍び散歩』『東京本遊覧記』などの著書がある。当代一の、東京街歩きの達人の一人といっていい。この著者…

ゲルギエフ/ロンドン響 マーラー 交響曲第3番

その後も何種類か聴いたが、いちばんの期待はずれはこの演奏。アンサンブルもテンポもぎくしゃくしていて、散漫きわまりない。第1楽章の金管など、まるで下手くそな軍楽隊だ。長大な最終楽章も、聞き手を集中させる一貫した流れに欠けている。 実は、ゲルギ…

村上春樹『もし僕らのことばがウイスキーであったなら』

この夏、アイラ島へ行って、何カ所かのディスティラリーを見学してきた。もともとアイレイウイスキーは好きだったのだが、それ以来ますます好きになり、今では食後から寝るまでの間の酒は、たいがいウイスキーである。ロックでなめるように飲む。これまでは…

三島由紀夫『青の時代』

原著は、1950年。光クラブ事件の山崎晃嗣をモデルにとった小説だが、さほど広く知られた作品ではないと思う。西尾幹二の解説にも、「傑作とも、問題作ともみなされることの少なかった作品」とある。読もうと思ったのは、主人公の犯罪観と、これにもとづいて…

『東京銘酒肴酒場』

居酒屋ムック『古典酒場』の、これまで発行された5冊の総集編ともいうべき居酒屋ガイドブック。ホッピーと酎ハイ、もつ焼きと煮込み系の下町大衆酒場を中心に、多数の店を紹介している。A4版と大きいので、開いて歩き回るには向かないが、飲みながら読むには…

朝日新聞社編『カイシャ大国』

1994年から95年にかけて、朝日新聞は「戦後50年」という連載記事を掲載し、95年に全5巻の文庫本として出版したが、その3巻目にあたるのが、この本。戦時下の家族手当の導入から始まり、電産型賃金に至る日本的な賃金体系の成立から始まって、「会社人間」の…