橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

雁屋哲・花咲アキラ『美味しんぼ』102巻

以前、雑誌の連載の段階で取り上げた、父子の和解を中心とするストーリーで、一巻が埋め尽くされている。ゆう子の策略で、「究極」と「至高」が「どれだけ相手を喜ばせることが出来るか」をめぐって闘うことになる。こうして士郎は、雄山を喜ばせるための料…

魚住昭『野中広務 差別と権力』

自民党総裁選挙で、麻生太郎が当選確実と伝えられる。短命内閣に終わることは間違いないが、少なくとも一時期は、麻生が総理大臣になるわけである。しかし麻生はいろいろ爆弾を抱えている。自爆寸前といってもいい。その爆弾のひとつが、差別発言問題である…

関岡英之『拒否できない日本』

一九八〇年代末に始まり、小泉政権下で推進された、いわゆる「構造改革」路線・新自由主義路線が、実は米国からの圧力で進められたものだというのは、すでにいくつかの指摘がある。本書は、この米国の圧力が「年次改革要望書」というはっきりした形をとった…

ロバート・ライシュ『暴走する資本主義』

この本も、日本に帰ったらすぐに読みたいと思っていた本。ちなみに、『暴走する資本主義』という書名は、すでに使われている(本間重紀著・1998年)。アンドルー・グリン『狂奔する資本主義』(ダイヤモンド社・2007年)の訳者に聞いた話だが、原書名の"Capitali…

ポール・クルーグマン『格差はつくられた』

すでにあちこちに書評がでているから、だいたいの内容についてはご存じの方も多いだろう。パリ滞在中にネットで書評を読み、日本に帰ったらまっさきに読まなければと考えていた本のひとつである。 世界的に進行し、とくに米国と日本で顕著な格差拡大について…

後藤道夫・木下武男『なぜ富と貧困は広がるのか』

格差拡大と貧困の増大が社会問題になるなか、現代のマルクス系実践的左翼知識人の代表格ともいうべき二人による書き下ろし。マルクス主義を標榜してはいないが、実質的には若者に向けたマルクス主義の入門書である。「格差社会を変えるチカラをつけよう」と…

高橋英之『日米戦争はなぜ勃発したか』

「メシの問題から見た昭和史と現代日本」という副題がつく。その内容は、第1部の「戦争の原因は貧困、では貧困の原因は?」というタイトルに凝縮されている。 これまでの代表的見解は、国内の人口増による貧困を重視するものと、階級格差の拡大による貧困を…

デイズ・ジャパン 8月号/9月号

9月6日に日本に帰ってから、たまりにたまった数十冊の雑誌に目を通しているところ。今朝読んだのは、このDAYS JAPAN。相変わらずがんばっている雑誌である。どうして日本では、このような硬派のジャーリズムがメジャーにならないのか。実は、なりかけたこと…

ザルツブルク音楽祭 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団コンサート

今年のザルツブルク音楽祭では、5人の指揮者がウィーン・フィルを指揮した。登場順に、ピエール・ブーレーズ、ジョナサン・ノット、リッカルド・ムーティ、マリス・ヤンソンス、そしてエサ=ペッカ・サロネンである。 私が聞いたのはサロネンの指揮したコンサ…

ザルツブルク音楽祭 クリーブランド管弦楽団コンサート

今年のザルツブルク音楽祭に招かれた外来オーケストラのハイライトは、フランツ・ウェルザー=メストが指揮するクリーブランド管弦楽団のコンサート。プログラムは次の3つで、私が聴きに行ったのは、マーラー「大地の歌」を中心とするプログラムだった。ちな…