橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『九段坂下クロニクル』

東京・九段下に、今川小路共同建築、通称・九段下ビルという建物がある。1927年の完成で、築後80年を超える長屋形式の耐火建築だ。戦前から戦後へと、多くの物語を育んできたに違いない建物だが、これを共通の舞台としたオムニバスマンガが本書。全四編。出…

成瀬巳喜男の墓

すぐ近所にあるとは知りながら、ついつい行きそびれていたが、今日になって初めて墓参りができた。砧公園にほど近い、世田谷区の円光寺にある。なんとなく、墓地の奥の方に鎮座しているものと思いこんで探し回ったが、実は墓地の入り口のそばにある。映画の…

藤井淑禎『高度成長期に愛された本たち』

著者は日本近現代文学が専門だが、大衆小説や映画を論じることが多い。しかもその視点は常に、敗戦から高度経済成長期の日本社会の変化をふまえたもので、ある意味で社会学的とも言える。このため以前から愛読していて、専門書以外はたいがい読んでいるので…