橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

村瀬洋一・高田洋・廣瀬毅士編『SPSSによる多変量解析』



 SPSSとは、Statistical Package fot Social Scienceの略で、統計ソフトの商品名。社会学ではスタンダードな存在で、利用者が多い。ところが、いい解説書が少ない。初歩的すぎて、すぐに役に立たなくなったり、逆に高度すぎて文化系人間には理解不能。心理学者や医学関係者が書いていて、取り上げられている例になじみがなかったり、分析手法に偏りがあって使えない、など。

 本書は、社会学を学ぶ者のためのテキストとしては、これまで出版されたもののベストだろう。記述は幅広く、数式は許容範囲内。というわけで、大学院のゼミで使っている。ただ残念なのは、ロジスティック回帰分析が含まれていないこと。ログリニア分析を載せるなら、いっしょに載せてほしかった。

 SPSSは、最新のバージョンアップでPASWと名称変更になった。バージョンアップは毎年のように繰り返されているが、大きく変わるのはせいぜい四回に一回くらい。だから、旧バージョンを使い続けている人が多い。名前まで変わると、教育現場も混乱する。データをそのまま流用できる、もっと安価で良心的な製品を、どこかの会社が開発しないものかと思うのだが。


SPSSによる多変量解析

SPSSによる多変量解析