橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

山縣基与志編『歌が聞こえてくる 東京ガード下酒場』



 居酒屋本にも、トレンドがある。地酒ブームが始まったころは、地酒をいろいろ揃えたのがいい居酒屋だとされ、銘酒居酒屋の紹介が多かった。太田和彦氏が登場してからは、居心地の良さや伝統が重んじられるようになった。景気がよかった時期には、懐石風の良質の料理を出すグルメ居酒屋を紹介する本が増えた。

 そして最近は、下町酒場や立ち飲みなど、大衆的な店を紹介する本が受けている。本書も、この最新の流れに沿ったもので、有楽町、新橋、神田・上野、渋谷と都心を一回りした後、高円寺、吉祥寺と中央線へ向かう。最後には番外編として、思い出横丁、OK横丁、ハモニカ横丁など、ヤミ市起源の飲食店街の紹介が。ガード下ではないけれど、同類とみなされているわけだ。というわけで、私好みの店が満載。