橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

森下賢一『居酒屋礼讃』



 かつて毎日新聞社から出版された単行本に、大幅加筆して文庫化された。原著は、今日では花盛りの各種居酒屋本の元祖とでもいうべきもので、私も大いに参考にさせていただいたもの。とくに、客の社会的構成を服装から読み解くという手法は、ここから着想を得ている。

 本書は、酒と居酒屋の歴史や、文学史の中の酒と居酒屋にも多くのページを割き、とくに俳句に関する部分は、今日まで他の追随を許さない。東京のすぐれた居酒屋を紹介した部分は、新たに取材して修正と追加がされていて、ガイドブックとしても役立つ。

 膨大な内容だけに、十分アップデートできていない部分もないではないが、ここまでやってくれれば文句はない。居酒屋好き必携である。


居酒屋礼讃 (ちくま文庫)

居酒屋礼讃 (ちくま文庫)