橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

落希一郎『僕がワイナリーを作った理由』



 新潟市の西、かつて巻町といった場所に、カーブ・ドッチというワイナリーがある。落さんのカーブだから、カーブ・ド・オチ。著者は創業社長である。ワイナリーには、レストランやホール、温泉付きの宿泊施設があり、地元客だけでなく東京などからやってくる客で賑わっている。

 本書は若き修業時代から、ワイナリーづくりに乗り出した日々、そして軌道に乗って今日に至るまでの記録。どうしてあんな場所にワイナリーを、と以前から不思議に思っていたのだが、本書を読んで疑問は氷解。日本海信濃川にはさまれたこの土地は、水面に守られて遅霜の降りることがなく、ボルドーと条件が似ているのだとのこと。いちばん感動的なエピソードは、現副社長の掛川千恵子との出会い。当時、ある有名ワイナリーの企画を任されていた彼女は、このワイナリーをインチキだという落に、失業者のくせに成功している会社の悪口を言うなんて、と悪態づくのだが……。この話の続きは読んでいただくことにしよう。

 このワイナリーについては、別のブログでも書いたので、そちらもご参照を。


僕がワイナリーをつくった理由

僕がワイナリーをつくった理由