橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

さいとうたかを『ゴルゴ13 真のベルリン市民』



 このマンガ、以前は全巻持っていたのだが、本棚が狭くなったので処分し、それからあまり読んでいない。何となくタイトルにひかれて、久しぶりに買ってみた。一五二巻目とのことである。一〇〇巻を突破したのは、つい最近のような気がしていたのだが。

 表題作は、冷戦時代のベルリンで、東西のベルリン市民がドイツ統一を目指して結成したという想定の秘密結社「真のベルリン市民」をめぐる暗闘を描く。魅力的なテーマでラストも良いが、ケネディ、ブレジネフ、カーターなど、出てくる政治家の顔が全然似ていない。「地上の太陽」は、熱核融合実験炉ZETER(実際に計画されているのはITER)のフランス誘致に、かつて日本人に恋人を奪われた男の復讐劇を絡めたもの。これもラストが洒落ていて、映画的である。米国の関与については、けっこう事実をふまえた部分がある。二六四ページで五五〇円。活字の本に比べれば密度は低いが、一五〇巻を超えても価格相応の価値を維持しているのは立派といっていいだろう。


ゴルゴ13 152 (SPコミックス)

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