橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

小林信彦『日本の喜劇人』

これは、まぎれもなく名著である。ロッパ、エノケンから書き起こし、森繁、トニー谷フランキー堺クレージーキャッツと書き進み、萩本欽一、たけしにまで至る喜劇・大衆演劇の昭和史は、天衣無縫、自由自在。あとがきで色川武大が「新鮮且つ鋭敏、完璧である。日本の喜劇人を記してこれ以上のものができようとは思えない」と書いているのもうなずける。博識と経験の幅、マニアックな資料収集癖、たぐいまれなる記憶力のなせるわざだろう。
日本の大衆文化史に少しでも関心のある人は、読むべきである。「定本」と題された高価な版もあるが、この文庫で十分だ。

日本の喜劇人 (新潮文庫)

日本の喜劇人 (新潮文庫)