小林信彦『日本の喜劇人』
これは、まぎれもなく名著である。ロッパ、エノケンから書き起こし、森繁、トニー谷、フランキー堺、クレージーキャッツと書き進み、萩本欽一、たけしにまで至る喜劇・大衆演劇の昭和史は、天衣無縫、自由自在。あとがきで色川武大が「新鮮且つ鋭敏、完璧である。日本の喜劇人を記してこれ以上のものができようとは思えない」と書いているのもうなずける。博識と経験の幅、マニアックな資料収集癖、たぐいまれなる記憶力のなせるわざだろう。
日本の大衆文化史に少しでも関心のある人は、読むべきである。「定本」と題された高価な版もあるが、この文庫で十分だ。
- 作者: 小林信彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1982/11/29
- メディア: 文庫
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