橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

川本三郎『私の東京町歩き』

必要があって、再読。最近「居酒屋考現学」などというものをやっているが、これはその着想を得るきっかけの一つになった本である。
著者は東向島から鐘ヶ淵あたりを散策し、縄暖簾のやきとり屋に入ってビールを注文する。すると、隣の客が話しかけてくる。「よっ、ビールか。景気がいいね。競馬でもうけたの」。「一瞬、何のことかわからなかった。すぐに、ここではビールは高級品なのだとわかった。彼が飲んでいるチューハイは一杯220円なのに、ビールは大瓶一本が 460円。倍はする。それで彼は私を『金持ち』と冷やかしたのである」。
こんな異文化体験も、居酒屋めぐりの醍醐味の一つである。

私の東京町歩き (ちくま文庫)

私の東京町歩き (ちくま文庫)