橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

月刊アクロス編集室『「東京」の侵略』

今から20年ほど前、「第4山の手」という言葉が使われていたのをご記憶だろうか。小石川・本郷が第1山の手、牛込・四谷・麹町が第2山の手、杉並・世田谷・目黒が第3山の手、そしてその先の横浜市緑区青葉区から町田市・多摩市・八王子市・立川市を経て所沢市までが、郊外型新中間層の居住地である第4山の手になった、というもの。その一連のマーケティングレポートの集大成が、本書である。
横浜あたりは分からないでもないが、所沢まで含めるところに相当無理がある。後に、発案者の一人である三浦展は、もともとパルコの新所沢出店計画の一環として発案されたもので、所沢を含めるのは絶対条件だったと明かしている。また本書では、西武百貨店の光が丘出店は二子玉川高島屋ショッピングセンターと同じ意味があり、練馬は第2の世田谷になるとされているが、実はすでに西武は撤退して、そのあとは西友系のスーパーになっている。
しかし、宅地開発の進行状況や人口動向など、よく調査・分析されていて、当時の東京の動態を知る歴史資料として意味がある。現在は、品切れ。

「東京」の侵略―首都改造計画は何を生むのか (アクロスSS選書)

「東京」の侵略―首都改造計画は何を生むのか (アクロスSS選書)