橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

ザルツブルク音楽祭 ウィーン・フィル・コンサート5

classingkenji+books2010-09-17

27日の朝は、ウィーン・フィルのマチネーへ。指揮はベルナルト・ハイティンクで、曲はブルックナー交響曲第5番
世間ではよく、ブルックナーの音楽にはウイーン・フィルの音色が最適だと言う。確かに序奏が始まった最初の強奏から、ブルックナーの和音が強靱な生命力を持って立ち上がるのに目を見張った。私はブルックナーのいい聞き手とはいえず、普段から聞き慣れているのは、4、7、8、9番といったところ。実のところ5番は、CDで聞いていても集中力が続かない部分がある。今日のコンサートでもときおり気が遠くなりかけた。しかし、そのたびにすぐ、ウイーン・ウィルの音に音楽へと引き戻される。
そんな私も、第4楽章は時を忘れて聞き入った。最初に前の楽章がリフレインされ、その要素を織り込みながら音楽が展開して圧倒的なフィナーレへと導いていく。音量も、昨日聴いたマーラー・ユーゲントに負けないくらい大きく、特に弦楽器の迫力はやはり世界最高だろう。ハイティンクの指揮の功績も大きい。よく中庸の指揮者などと軽くみられるが、長大な全曲を通じて音楽の流れを一貫させ、これだけの響きを引き出したのだからたいしたものだ。終演後の盛大な拍手のなかでは、団員たちが敬意を払っている様子もうかがえた。