橋本健二の読書&音楽日記

日々の読書と音楽鑑賞の記録です。

ザルツブルク音楽祭2012 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

classingkenji+books2012-09-14

いつも音楽祭の最後の方に一回だけあるベルリン・フィルのコンサートである。指揮は、もちろんサイモン・ラトル。曲は、前半がヤヒム・ブロンフマンソリストに迎えてブラームスピアノ協奏曲第二番。後半はルトスワフスキ交響曲第三番。
まずブラームス。ホルン奏者に酷なのはわかっているが、冒頭でわずかに音程を外し、あららと思ったら、ブロンフマンのピアノはこれもわずかにテンポを違えて始まった。そこからしばらくが大変で、テンポが速めにずれるブロンフマン、これに合わせずに予定通りのテンポを守るラトルのせめぎ合いが続いたが、一楽章の終わりごろには調子が合ってきて、管弦楽もピアニストも全開となる。こうなると、ベルリンの弦楽器の充実ぶりは大変なものだし、ブロンフマンの音と音量も凄い。第二楽章などは、理想の演奏だったといっていいと思う。これに比べると、ピアニストに技術以上のものが求められる第三楽章と、もともと曲として充実しないところのある第四楽章は印象が弱かったが、全体としては聴衆の要求を満たした演奏だった。
後半のルトスワフスキ、曲がもともとゲンダイオンガク然としている前半は、やや退屈。こういうときはベルリン・フィルの音を楽しむというのがいい聴き方かもしれないが、心なしかソロも低調。しかし管弦楽が波瀾万丈の展開を見せる後半は、手に汗握る力演で、このオーケストラの実力を堪能することができた。
最後のアンコールは、ラトルのスピーチ(プラハとか、グーラッシュというような単語が聞こえ、聴衆からは笑いが漏れていた)のあと、ハンガリア舞曲の第一五番。ゲンダイオンガクで終わったのでは消化不良になりがちな観光客的聴衆もしっかり満足させて、今年のベルリン・フィルは終わり。